先日からtwitter(ellina0817)で何回か紹介しているベルリンの大学病院Chritéのウィルス学の専門家クリスティアン・ドロステン博士。NDR北ドイツ放送のレポーターによる電話インタビューに毎日30分程対応しています。
しかし、彼の元にヘッセン州の財務官故トーマス・シェーファー氏が自らの命を絶ったことについて責任を追求する内容のメールが届いたり(言いがかりもいいところですね・・・)、メディアに自身がさも政治的意思決定をしているかのような風刺画が掲載されるなど、メディア対応を考え直さなくてはならないかもしれないとのこと・・・。私個人としては情報源のひとつとして毎日聴いているので、このポッドキャストはなくならないでほしいと願うばかりです。そして、それは私だけではないはず・・・。
ラジオという報道メディアに携わるものとして聞き流すことはできない言葉でした。昨日のものになりますが、私なりの意訳・まとめです。メモ書き、ご容赦ください。他国の状況を知るキッカケのひとつとして捉えていただければ幸いです。日々状況は変わりますが、情報収集を怠らないようにしたいです。
ドイツの現状:一旦引いた波がいつ戻ってくるか分からない
ベルリンは、今のところ重症患者は少ないが、病床確保に努めている。それは経済的には大きなマイナスであるが、専門家チームは、(望んではいないものの)次の非常事態に備えている。
There is no glory in prevention=予防には栄光はない。まだ押し寄せてきていないから、一体何から守ろうとしているのか見失いがちだが、世界で起きていることにも目を向けよう。
何故ドイツは比較的死亡率が低いのか?
まずミュンヘンにおける集団感染を最小限に留められたことが大きい。保健所と専門家チームがすぐに分析作業に徹し、その結果、軽症者もいることがわかり、対応している。
ドイツに感染者の平均年齢は2020年3月30日時点で48歳。新型コロナウィルスは院内感染するウィルスであるため、そもそも高齢者や基礎疾患がある人が多い病院で蔓延したら感染者の平均年齢は一気に上がる。
今まで死亡率が0.2~0.4に留まっていたが0.8まで上昇している。ドイツの初期の感染者は若年層が多かったが、徐々に他の世代に感染が広がっていることが数字にも表れているということだ。
今後の検査数について
正直なところ、PCR検査の他に血清検査も検討しているが、今以上母数を大幅に増やすのは難しいと思われる。だからこそ必要性の見極めが大切。現状、1週間で50万程度の検査が可能。かなり初期段階で必要な物資を注文した為、当面は問題ないが、供給ラインがいつまで持ち堪えるかは分からない。そのため検査できる数をこれ以上増やせないと考えるのが現実的。
意思決定は政治が担う
新しい社会生活上の更なる接触制限措置が定められて一週間強。4月20日までは緩和しないという判断は妥当。何故ならば、ある程度の結果(効果)が出るまで経過観察期間が必要だからだ。その結果次第で現実的な措置を改めて制定する必要がある。また意思決定機関はありとあらゆる事態を想定して対策を練らなくてはならない。(重症患者をキャパの60%以下に抑える為にはどうするべきなのか?など)いかなる場合でも、民主国家において判断を下すのは国民に選ばれた政治家であり、学者であってはならない。(ドイツ国家倫理評議会の表明も一読に値すると言及しています。)
メディアでの反応について
4月20日まで今の状態が続くことを必要以上に大げさに受け止めないでほしい。メディアではすでに科学者が政治的判断を下しているかのような風刺画が出回っているが、そのような事実はないし、そうした印象操作はやめてほしい。現実は複数のトップクラスの専門家たちが集まって連携しながら日々分析結果を共有している。
トークショーなどではあえて喧嘩をさせたがる。逆に考えれば、まだ人々に余裕があるということかもしれない。
初期のミュンヘン集団感染からわかったこと
背中合わせで食堂に座っていた人が、一瞬会話した程度でも感染する。食事をする場合も1.5m以上距離をとるべき。
マスクについて
まだ日常的に使っている人は少ないものの、相手を気遣う”礼儀正しい”行為として良いと思う。それが世間一般的に普及するまでもう少しかかるかもしれないが。
以上が、インタビュー内容の私なりの意訳です。
ちなみに・・・ベルリンの国立劇場の衣装部が介護施設などからマスクの受注を受けています。ベルリン在住の私の母も今週から通常勤務に戻り、在宅勤務できる環境にあるのでHome Factoryで仕事をしています。同僚とはWhatsAppなどで連絡を取り合っているそうです。先週は150枚程縫ったとか。
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