映画レビュー:「架空OL日記」

バカリズムさんが3年間、銀行に勤めるOLになりきって日々のあれこれを綴った「架空OL日記(kaku_ol)」がついに映画化!2017年にはドラマ化、「第55回ギャラクシー奨励賞」受賞していることもあり、続編とも言える本作に期待している方も多いのでは?

ストーリー

憂鬱な月曜日の朝6時半過ぎ、みさと銀行に勤めるOL=”私”(バカリズム)がやっとの思いで起きて、身支度を始めるところから始まる。会社の更衣室では先輩後輩がいつものように気に入らない上司の話で盛り上がり、淡々と仕事をこなし、仕事帰りにご飯を一緒に食べに行ったり、ジムに行ったり、或いは行けなかったり、地元の友達とカフェランチしたり・・・そんな日常を”私”が語る。身も蓋もないことを言うと、ストーリーらしいストーリーもないのが特徴。

おすすめポイント

なんでもないことなのに、いちいち面白い!試写会では比較的珍しく(少なくとも私はそう感じています)上映中に笑いが度々起こり、それがまた良いエッセンスになっていたようにも思います。さらに不思議なのは、男性のバカリズムが言わば女性の装いをしていることが少しも不自然ではなく、銀行のOLとして完全に溶け込んでいたこと。絶妙な空気感で、あるある~!!とバカリズムワールドにどんどん引き込まれてしまいました。

”私”は完璧に物語の一員なのに、架空OLというタイトルに最後の最後にちゃんと納得させられるところが「さすがだなぁ」と唸ってしまいました。”私”には名前がないところにも注目。結局誰だったんだろう?

社内文化は案外似ているかもしれない

あるある~!!と上映中につい笑い声を上げてしまった、と書きましたが、言うまでもなく、私自身は日本で会社員経験もなければ、OL経験もありません。(三越で3ヶ月アルバイトをしたのはカウントされるのかどうか・・・?!)しかも、銀行ってザ・ジャパニーズカルチャーが満載の職場のひとつだと思うのですが、案外どこの国も職場の状況は似たり寄ったりなのかもしれません。やはり、上司と部下の間には明確な境界線があるものです。

”私”は、空気が読めない天然系の後輩を諭す時に『私たちはさ、今、真実じゃなくて矛先が欲しいの』と言っています。人が人と会話する理由ってなんだろう?と思わず考えてしまうセリフですが、少なくとも内容が重要ではないこともあるということですよね。

個人的な印象ですが・・・日本の社会では「調和」がより重んじられる傾向があるのに対して、ドイツであれば「効率」をより求めるところがあると思います。例えば、無理難題を求めてきた上司=”共通の敵”に立ち向かうにしても、普段から同じ立場同士で団結していた方が発言力が増す、というメリットがあります。自分の権利を守るための知恵、というか。

目的は違えど、コミュニケーションの取り方は意外と似ている部分があると言えそうです。

おわりに

バカリズムさんの鋭い(そして少し皮肉な)観察眼が私たちの笑いに直結する楽しい作品。これまでに書籍化・ドラマ化されていますが、どちらも読んでいない・観ていないという方でも楽しめるはずです♬

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この記事を書いた人

ドイツ生まれ・育ちのラジオパーソナリティー ・マルチリンガルMC ・通訳。27歳で日本に移住。現在TOKYO FM・JFN・NHK Eテレ(「旅するためのドイツ語」)にレギュラー出演中。

今までに勉強した言語は、日本語・ドイツ語・英語・ラテン語・フランス語・スペイン語・韓国語・中国語の8ヶ国語。

ペンギン・猫・映画 ・DIY・どら焼きが好き。

FM BIRD所属。

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