Rotten Tomatoes支持率94%!難病を抱える16歳の最初で最後の恋を独特な世界観で色鮮やかに描き出し、Variety誌による注目すべき十人の監督にも選ばれたシャノン・マーフィー初の長編作品。主人公ミラ役には「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」の三女を演じたエリザ・スカンレン。ベタなお涙頂戴!難病系映画なのかと思いきや・・・?
あらすじ
キャッチコピーは”胸が張り裂けるほど愛おしいモーメント・ラブストーリー”
ミラは難病を抱える16歳の高校生。学校にも心許せる友達もいない。憂鬱な雰囲気をまとう彼女に電車の駅で突然ぶつかってきた不良少年モーゼスと出会い、恋に落ちる。彼女の両親は心配のあまり、二人の関係に猛反対。その理由は、ミラが最後の治療として化学療法を始めることも決まっていたこと、そして、モーゼスが家族に家を追い出され盗みを働いてまでドラッグを売りながら生計を立てていたから。しかし、ミラは怖いもの知らずで、自分を時限爆弾扱いしないモーゼスに益々惹かれていく。娘の幸せそうな姿を見ると、もう少し様子を見てみようと両親はモーゼスを一緒に住まわせることにするのだが・・・
感想・見どころ
設定はベタな難病系ラブストーリーそのもの。余命いくばくもない少女が恋に落ち、燃えたぎる恋心と思うがままにならない肉体を嘆き、家族や恋人と衝突しながらも、最後は愛する人たちに見守れながら美しく散る・・・概ねこんな感じです。
ですが、この作品のユニークな点は・・・まず、二人の恋が成就するまでの過程を描いていないところ。エピソードごとにタイトルがついていて(日記スタイル)、断片的に出会ってからの日々を描いているので、展開が想定外。
そして、主人公ミラが全然か弱くない。もちろん、闘病シーンも出てくるし、化学療法で髪の毛が抜け落ちて坊主になってしまうシーンもあるのですが、そこに重きが置かれていない。ドラマチックに描かれていない。寧ろ、彼女はどんどん強くなっているような気がします。それは恋によって生きる意味をみつけ、また自分が死ぬことの意味をも悟ったからなのかもしれません。ベイビーティース(乳歯)が抜けるところで彼女は進化しているのだと思います。
また、音楽がとってもお洒落だなあ〜という印象が強いのも予想外のポイントでした。
ただ、ミラがモーゼスに惹かれるのは感覚的になんとなく理解できる一方で、逆はどういうところに惹かれたのかしら?仮に最初はお金目的だったとしても、23歳(記憶が曖昧ですが、少なくとも20歳以上)の青年が16歳の女子高生を恋愛対象としてどのタイミングで見るようになったのか、そこの描写がもうちょっとあると、もっとモーメントさ、もとい、エモさが出たのかな、とも感じました。
『ベイビーティース』2月19日より公開!