「愛の不時着」感想、ベルリンで会った北朝鮮エリート

文化比較

友人に勧められて観始めた「愛の不時着」。韓国ドラマを観たのは一体何年ぶりだろうか・・・?というくらい久々ですが、街中の声が一瞬韓国語に聞こえてしまうくらい、どっぷりハマってしまいました(笑)

アクション映画・スパイ映画並みのスリルや臨場感、複雑な人間模様・家族と任務の間に板挟みになる苦悩を描くなど普遍的なヒューマンドラマな一面を持ちつつ超王道ラブコメディで、誰が見ても面白いと思える要素を持つ作品でした。「絶対有り得ないけど、あったらいいな・・・」という夢を見せてくれるハッピーエンドなところも好きです。現在Netflixで配信中。

今日は「愛の不時着」を観て思い出した、ベルリンで会った北朝鮮エリートの話。

愛の不時着 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
パラグライダー中に思わぬ事故に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢。そこで出会った堅物の将校の家で、身分を隠して暮らすことになるが...。

愛の不時着あらすじ

北朝鮮のエリート将校と、韓国の財閥令嬢の恋愛ドラマです。

人気ファッションブランドを経営する財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)が、自社の新しいスポーツラインを試すために乗ったパラグライダーの事故により、北朝鮮に”不時着”してしまうところから物語はスタートします。

そんな彼女を見つけるのが北朝鮮の軍人、リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)。通告すれば良いものを、なぜか彼女をかくまい、そうこうしているうちに愛が芽生え・・・ドラマチックな展開と胸キュンがつまった超王道韓流ラブコメ。

北朝鮮の人々の生活描写のリアルさが見所

大げさかもしれませんが、革命的にすごいのでは?とさえ思っています。

無論実際に見に行ったことはありませんが・・・言葉遣い(イントネーションや隠語も含め)、市場や食事の様子、使っている食器やマグカップ、村に住む女性同士の交流、盗聴の現実(ホテルにも仕込まれている!)、停電(長距離列車が停電すると近隣の村から物売りが押し寄せてくる、なんて考えたこともなかった)、実は韓国ドラマが人気だったり・・・一方で上流階級の人たちはグローバルな視点や経験を持っている。海外渡航歴もある。

市井の人と、上流階級の人たちの格差がどれほど正確なのかは知る術もありませんし、多少の脚色はあるにしても、これほどまでにリアルに描かれているドラマってなかったのではないかと思います。調べてみた感じでは、脱北者に丁寧にヒアリングをしてセットを作ったんだそうですよ。

北朝鮮と東ドイツ

意外に思われるかもしれませんが、北朝鮮とドイツ・・・正確に言えば東ドイツですが・・・同じ共産国として親交が深く、交換留学制度もありました。私の韓国語の恩師であるDr. Holmer Brochlos氏も金日成大学での留学経験を持つ一人。今でも北朝鮮関連の通訳として召喚されるくらい信頼が厚く、ドイツ語で韓国語を教えるのが世界で一番上手い先生です。

そんな先生のツテなのか、そこらへんは分からないのですが・・・ある日、北朝鮮から短期研修のためにベルリンに来ている男性に話を聞く機会がありました。2007年だったか・・・。

名前以外は謎のエリート候補?

名前は朴さん。それ以上の個人情報は明かせないとのことでした。その名前ですら、本名かどうか分かりませんが・・・驚いたことがいくつかあります。

年齢不詳だった

自分が日本人であることから、アジア圏の人の年齢はなんとなく分かると思っていたのですが・・・全く分からなかったんです。20代にも見えるし、30代と言われればそれが妥当だし、40代も有りうるかもしれない・・・。

これほどまでに全く違う価値観で生きて来た人を見るのが初めてだったからかもしれません。身体的にはまだ若い印象ではありましたが(肌の艶や、髪の毛の色など)、仕草や話し方は知的で落ち着きがあり、とても自分とさほど変わらない年齢の人とも思えず・・・。しかも、服装に頓着しない系の”おじさんファッション”だったので、ますます年齢不詳。(アジョシと呼ばれる年齢もあるのかも?)

ドイツ語が非常に美しかった

その場にいた学生全員が度肝を抜かれたはず。完璧な発音・文法、話し方も自然で本当に驚きました。韓国語特有の訛り(例えば「ツ」が「チュ」、「ザ」が「ジャ」になってしまいがち、など)一切なく、どうしてこんなに美しいドイツ語を話せるようになったのか聞いたみたところ、繰り返し繰り返しカセットテープを聞いて練習したのだそうです。そして、ドイツ大使館関係者など、数少ないドイツ人にも教わったとか・・・。

血の滲むような努力をして勉学に励む韓国の人ですら、あれほどまでに美しいドイツ語を話す人はそう多くはないので、よっぽどセンスがあるか、英才教育を受けてきたか・・・(その学習方法にも興味ありますよね)

そもそも若い時から(英語ならまだしも)ドイツ語を学ぶ機会を持っているということ自体もエリートの証拠・・・?

目的は情報収集

具体的には教えてもらえませんでしたが、滞在の目的な情報収集だったそうです。その当時でも監視はされているもののインターネットが使えるところは使えるし、Eメールもできるとの話でしたから、文献や書物などネット閲覧できないものや、会うべき人に会って話をするのが目的だったではないかと推測しています。

何故、あの会に来てくれたのか

その日は時間にして・・・1時間半か、2時間もないくらいだったと思います。静かで、とても濃密な時間でした。朴さんの額には汗が滲み、とても緊張していたようで手を左手は始終握りしめたままでした。

重要な任務を任されて渡独しているはずですし、ペラペラと故郷の話をできるとも思えません。だから、今でも不思議なんです。何故来てくれたのか。

先生が間に入っていなかったら絶対に実現しなかったことは確かなのですが、朴さんはあの日、何を得て帰ったのか・・・「愛の不時着」を観て思い出したこの日のこと。

真相は闇に葬られたままですが、そして、それが変わることもないのでしょう・・・それでも、私にとっては印象的で、まるでフランス映画のようなミステリアスさも残す会でした。

韓国と北朝鮮とドイツの関係性

実は韓国もドイツに対し、とある点で並々ならない親近感を抱いています。そう、分断国家から統一した経験を持っているから、です。

まだ学生の時分に、統一省の人たちが一ヶ月ほどの研修で滞在されていた際に、通訳も兼ねたお手伝いをさせてもらったのですが、ものすごい量の資料を集めていて、それらを分析して、どうすれば(無血)統一ができるのかを研究するのだと話していました。

実際には、時代も違うし、状況も環境もかなり違います。だから、参考にはなったとしても、真似したところで・・・という意見も少なからず有ります。人々の統一に対する意識だってまだ共通の思いには至っていないでしょう。

それでも、橋渡しをしている人ももちろんいて・・・母校の学科長が比較的最近こんなインタビューを受けていました。日本のヤフー記事でお目にかかるだなんてビックリ!

イ・ウンジョン教授。ヨーロッパと東アジアにおける思想の異文化政治史、韓国の歴史と社会、変容に関する国際比較研究などの専門家で、パワフルな女性です。元気にしてらっしゃるのかなあ〜・・・

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