映画レビュー:「ジョジョ・ラビット」

映画

1月17日(金曜日)より日本公開の本作、トロント国際映画祭で観客賞を受賞したことで、一躍アカデミー賞のトップランナーとして注目されています。

あらすじ

物語の舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは、時の指導者アドルフ・ヒトラーに憧れる少年。イマジナリーフレンドでもあるアドルフ・ヒトラーに励まされながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで勇敢な兵士になろうと懸命に努力している。が、とある日の訓練で、ウサギを殺すというミッションをクリアできなかった為に「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられてしまう。

さらに、ジョジョは、母親(実は反政府派の活動家)と二人で暮らしている家の隠し扉の奥に、ユダヤ人の少女エルザが匿われていることに気が付いてしまう。「とんでもないことになっているぞ!」と驚き、憤りすら感じるのだが、”ユダヤ人の実態をリサーチする”という名目で彼女に近づき、度々尋問をする。

次第に自分が今まで教えられてきた「事実」とあまりにかけ離れていることに気が付き、疑問を持ち始める。そして、親友アドルフの皮肉がひっかかるものの、勇敢で聡明なエルザに惹かれ始める、ジョジョ少年の恋と成長の物語。

注目ポイント

ナチス/ヒトラーという題材は、ひとつの映画ジャンルとなりつつあり、当然、様々な手法で許されることのない悪の象徴として描かれてきた。本作はコメディタッチの風刺映画なので、「チャップリンの独裁者」や「帰ってきたヒトラー」などに通じるものを感じる。

音楽の使い方が絶妙で、思わずじんわりしてしまうところは「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い出させる。いろんなレビューを見ていると同じ感想が多いので狙っていたのかも・・・?デヴィット・ボウイの使い方が良すぎて、ずるいくらい(笑)

そんな中で「ジョジョ・ラビット」の見所をあげるなら、10歳の男の子の、まだ未熟で視野も狭く、しかし、素直な心を持った目を通して見るナチスドイツを描いているところ。今までにありそうでなかった視点なのではないだろうか。

(最近観た「名もなき生涯」も同じ時代を舞台に繰り広げられるのですが、切り口がまた全然違うので、こちらもよろしければ。)

ユーモアが世界を救う?

ワイティティ監督はこのようにコメントしている。

私は、本作のユーモアが、新しい時代の絆となってほしいと願います。
子供達が耳をそばだて、学び、そして未来へと進むことを助けるために、
第二次世界大戦の恐ろしさを繰り返し語る、
新しく斬新な方法を見つけ続けることが重要なのです。

(公式パンフレット参照)

この映画の価値は、多くの監督がこれまでにテーマにしてきた「ナチス」を新しい形で表現しているところにあるのだと思う。したがって、歴史映画として見ることはおすすめしない。子供の目から見る世界だからこそ、不完全であったり、非論理的であったり、史実とはちょっと違うような・・・?となるところがあって当然なのだ。この映画の本質は「素直な心を持って接すれば真実を以ってして偏見をなくすこともできるし、人は成長する」というところにある。

その他の好きなところは、ジョジョの母親ロージーのファッション。とってもお洒落で、色使いがカラフルでとっても綺麗。これは知らなかったことだが、あの時代は意外にもカラフルらしい。もっとモノトーンかと思っていた。ロケ場所はチェコ。

そして、監督がアドルフの役もこなすという、多才ぶりも忘れれはいけない。ワイティティ自身も差別された経験を持ち、本作を「人種憎悪に反対する強力な声明である」とし、「権威主義や愛国主義的熱狂、個人的偏見や憎悪はばかばかしい。そして、連帯と責任を持って自発的に行動すること、お互いを思いやりが大切だと語る」ものと表現している。

重い背景はあるものの、コメディタッチで、楽しく気負わずに観ることができる。アカデミー賞でどんな賞を受賞するのかが楽しみな作品のひとつ。ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスくんが可愛い!

おまけ

Jojoという名前。Jonas(ヨーナス)という名前によくつけられるあだ名です。ドイツ語読みだとヨーヨーになるのですが、映画では英語読みで「ジョジョ」になっていますね。

ラビットの由来。彼の不名誉なあだ名の由来がわかりやすくエピソードとなって描かれていますが、私の憶測では、ドイツ語のAngsthaseという言葉とかけているのでは?直訳は不安・ウサギで、臆病ものという意味なのです。

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